スタッフ紹介
職名 | 氏名 | 所属学会等 |
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診療部長 | 松本 富夫 | 日本外科学会専門医 日本臨床外科学会 日本消化器外科学会 日本透析医学会指導医・専門医 |
外科医長 | 竹本 将彦 | 日本外科学会 日本消化器外科学会 |
外科医長 | 松岡 功治 | 日本外科学会 認定医・専門医・指導医 日本消化器外科学会 認定医・専門医・指導医 消化器がん外科治療認定医 |
医師 | 田所 剛志 | 日本外科学会専門医 |
名誉院長 | 住元 了 | 日本透析医学会専門医 日本外科学会指導医・専門医 日本消化器外科学会専門医 |
対象疾患
慢性腎不全、その他血液浄化治療が必要な疾患
特色・診療内容
皆さん、初めまして!私は柳井医療センターで透析治療を担当しています外科 松本富夫と申します。ここでは少し腎臓の治療についてお話させて頂きます。ちょっとだけお付き合いをお願いします。
「腎臓がだいぶ悪くなったから、腎臓を手助けする治療をしないといけませんよ」と医師に言われたら、それは「腎代替療法」が必要です、ということ意味します。腎代替療法には①腎臓移植②腹膜透析(Peritoneal Dialysis, PD)③血液透析(Hemodialysis, HD)の3種類があります。
①腎臓移植は70歳までの方に、他の方から提供していただいた腎臓を移植する治療です。成績もよく、日常生活も移植前とほぼ同じように過ごせるなど大変良い治療ですが、腎臓を提供してもらえないと成り立たないというのが、やや障壁になっています。わが国では年間約2000件の腎移植術が行われています。当院では腎移植を希望する患者さまを、広島大学や山口大学にご紹介しています。
②腹膜透析(PD)という言葉をお聞きになったことがありますか?
腹膜透析とは自分のお腹にある膜(腹膜)を利用して毒素を外に出す透析方法です。
お腹にカテーテル(やわらかいプラスチックチューブ)を備え付け、カテーテルを通じてお腹の空間(腹腔)に治療液を貯めて治療します。そろそろ透析治療を始めないといけない…という患者さんの中には、尿量がまだ保たれている方もいます。腎臓の働きがだいぶ悪くなっても、残されている腎臓の働き(残存腎機能)を大事にする方が、患者さんの生命予後にいいという研究結果があります。このことから、世界では透析治療をまず腹膜透析で始めることを「PDファースト」と呼んでいますし、当院でもPDファーストを行っています。特に最近の研究結果では、透析開始の4~5年は、腹膜透析の方が血液透析より予後(生存率、入院を必要とする頻度、治療を必要とする回数など)良好と明らかにされました。ご高齢の方が増えた昨今、この4~5年は大変に貴重な時間かと思います。もちろん4~5年を経過しても、我が国では腹膜透析を行いながら週一回の血液透析を行う「併用療法」が広く行われており、血液透析のみより予後がいいという結果が学会などで広く発表されています。
腹膜透析はご自宅で出来る治療法であり、通院回数も1-2回/月(血液透析は13-14回/月、年間150回以上!)と少なく、血液透析に比べると食事・水分制限も大変緩やかな治療法です。通院などで拘束される時間も少ないなど、「治療を中心とした生活ではなく、生活を支えるための治療」という良い側面が現れています。
当院では腹膜透析を平成27年より始めて、延べ約100名、現在は約35名の方に行っており、山口県内ではもっとも多い患者さまの数となりました。おかげ様で色々な病院からも腹膜透析の患者さまのご紹介を頂戴しております。
③血液透析は、血液を体外循環させながら透析膜といわれる装置を使って清浄化し、身体に戻す透析方法です。当院では血液透析も全国最先端レベルに負けないよう、積極的な治療をしています。治療の詳細は臨床工学技士 豊澤より説明させていただきます。
『良い透析』とは?
良い透析とは、透析時間が短く早く終わる透析=体の負担が少ないと勘違いされていませんか?
時間をかけて治療を行うと短時間と比較して体、心臓の負担が違うと言われています。
当院は6時間透析まで対応可能です。
透析時間を長くすると血圧低下の予防だけではなく透析効率も良くなります。
透析効率は日本透析医学会のガイドラインで推奨されている『Kt/V』(ケー・ティー・パー・ブイ)を指標としています。
Kt/Vは K:毒素の除去量、t:透析時間、V:患者体液量の式で構成されています。 透析時間を長くするとK:毒素の除去量、t:透析時間が増えるので透析効率が良くなることになります。 K:毒素の除去量は血流量と比例して増加、減少の関係性があります。
当院の特色は高血流で透析時間を長くすることで予後を少しでも長く過ごしていただければと思い治療を施行しています。 また、食事制限を設けず好きなものを好きなだけしっかり食べて、しっかり透析を受けて楽しい透析ライフを送っていただければと思います。 血液透析では、小分子毒素の除去、電解質のバランスを整えるだけでなく、中分子に分類されるβ2-MG(透析アミロイドの原因)やもっと分子が大きいα1-MG(酸化型α1-MG)を積極的に除去し、長期合併症の予防に努めています。 当院はβ2-MGの前値30mg/L以下または除去率80%以上、α1-MG除去率40%を目標としており、毎月の検査データ、患者様の症状に合わせて患者様個々に合った透析膜、治療法を選択したテーラーメイド透析を行っています。
(臨床工学技士:豊澤真吾)
最後に、再び松本富夫です。 血液透析患者さまのシャント(バスキュラーアクセス)は血液透析治療の生命線といえます。当院では臨床工学技士などによる定期的な超音波検査(エコー検査)を行って血管の状態を観察しています。シャント血管が細くなると、PTA(経皮的血管形成術)と呼ばれる「血管内カテーテル治療」を行います。おかげ様で当院は山口県下で有数の治療件数(140-160件/年)を誇ります。常に最先端かつ最善のカテーテル治療を目指して、様々な治療方法を研究しています。例えば、山口県内では当院が最初に人工血管出口部に狭窄に対してのみ使用されるステントグラフト(Viabahn)を臨床使用し、現在は中四国地方で3番目に多い30例以上の使用実績を誇ります。また、再狭窄を繰り返す自己血管シャントにのみ使用される薬剤塗布バルーンも20例以上の使用実績があります。いずれも使用に当たっては専門学会が認定した血管内治療認定医の資格が必要で、当院では資格を持った私が行っております。 一方でPTAだけでは十分に血管が治療できない場合は、必要に応じて血管の手術を行っています(30-40件/年。
当院では通院が難しくなった患者さまの入院透析も、積極的に引き受けております。入院中でも好きなものを食べていただき、安楽にお過ごしできるようにしています。終の棲家に相応しい環境を整え、ご家族の皆さんに安心してもらえるように様々な工夫をしております。いつでもご相談下さい!